セアカゴケグモはもともと日本には生息していない毒グモで1995年に大阪府高石市内で初めて発見された後、近隣の県でも発見されていく。2003年には奈良県、2005年には京都府や滋賀県などで相次いで発見され2012年には23府県に広がっていった。
もくじ
セアカゴケグモとは?
ニュージーランドやインド、ミャンマー、インドネシア等の東南アジアの他、ヨーロッパ、アメリカでも生息が確認されている。主な分布地域はオーストラリア大陸である。セアカゴケグモが属するゴケグモ類は世界で30種類以上発見されており、日本ではセアカゴケグモ意外に外来種のハイイロゴケグモも発見されています。

メスの成体は体長約1cm。足を広げると約3cmにもなる。体の色は全体的に黒色又はこげ茶色で腹部は大きな球状の形。背中側に赤色の帯状の模様があるのが特徴。
セアカゴケグモは何処にいる?
2017年8月現在、青森県、秋田県、長野県を除く都道府県で確認されている。2017年に入ってからは2月14日(火)に富山県富山市長附(旧大沢野町)地内においてセアカゴケグモのメスが発見されている。これまで富山県には発見報告はなかった。2017年8月には、既にセアカゴケグモの生息が確認されている佐賀県において鳥栖市本鳥栖町の鳥の里公園周辺で佐賀県としては過去最高の47匹ものセアカゴケグモが発見されており、同時に卵40個も確認されている。

過去の都道府県発表の資料をもとにセアカゴケグモの発見地域を地図上に表した地図。
セアカゴケグモは2012年以降急速に生息域が拡大している。2012以降の発見地域を年代別にまとめたものはこちらをご覧ください。
本来日本にいない外来種のクモが日本で越冬できるのか?
オーストラリアの首都キャンベラでもセアカゴケグモが生息していますが、キャンベラの冬の時期(キャンベラの冬は6月~8月)の平均気温が1度~12度。一方、日本で初めて発見された大阪府の冬の平均気温も同程度である事から日本国内でも生きていけるといえます。また、2013年には東北の岩手県、2015年には北海道でもセアカゴケグモが発見されています。
セアカゴケグモが潜む身近な場所
セアカゴケグモは側溝や排水溝の裏や公園などのベンチの裏、家庭菜園などのプランターの裏、あまり使っていない自転車のサドルの裏、屋外に置いている傘の中、エアコンの室外機など私たちの身近にある物に潜んでいる可能性があります。
セアカゴケグモの被害にあわない為に、事前に自宅で行える対策としてはセアカゴケグモにも効くクモ用殺虫剤を家の周りに定期的に散布する事です。
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セアカゴケグモに咬まれたらどうなる。
セアカゴケグモで毒を持っているのはメスのみ。ゴケグモ類の主要な毒の成分は神経毒(α-ラトロトキシン)です。セアカゴケグモのメスは頭胸部に毒腺があり、咬まれると毒成分が注入されます。人が咬まれた場合、咬まれた箇所のまわりが赤くなったり、腫れたり、熱を帯びたりする事があります。通常は咬まれてから数時間~数日で症状は軽減しますが毒の作用により脱力感や筋肉痛のような痛み、不眠症状などが継続する事もあり、重症化すると進行性の筋肉麻痺が生じる事もあります。
セアカゴケグモに咬まれて死んだ事例はあるのか?
2017年現在で日本での死亡例はありません。主要な生息域であるオーストラリアではセアカゴケグモに咬まれて死亡した例も過去にはあるが、1956年に抗毒素血清による治療がはじまってからオーストラリアでも死亡例はありません。
咬まれた場合の治療方法
セアカゴケグモに咬まれたら速やかに病院を受診する。また、日本ではセアカゴケグモに咬まれた患者の治療実績が無い病院が多い為、「クモに咬まれた」だけではセアカゴケグモによる症状である事を判断しにくい。そのため咬んだクモの種類がわかるように殺したクモを医療機関に持っていく事が重要である。セアカゴケグモに咬まれた事がわかれば、医療機関で抗毒素血清を注射する事もある。適切な治療を行えば重症化する危険は少ないと言えます。