熱中症は体が高気温や高湿度などの環境に適応できない事で、体温が上昇しさまざまな症状を引き起こします。真夏の日にめまいや筋肉痛のような症状がでたり、体がだるくなったり、汗が大量に出たり、まったく汗をかかなかったりした場合は熱中症を疑いましょう。
もくじ
東北の高齢者比率は高い

青森県・岩手県・秋田県・山形県は県民の3割以上が65歳以上の高齢者。福島県も29.5%とほぼ3割が高齢者という事になる。
グラフに示したとおり東北地方各県の65歳以上の高齢者率は宮城県と福島県を除き3割を超えている。2015年と2016年に日本国内で熱中症により救急搬送された人の半数(50%)が高齢者というデータがある(総務省消防庁発表資料より)。高齢者になるほど熱に対して鈍感になる事がわかっており年齢の衰えと共に体温調節機能が低下し熱中症になった時に重症化する確率が高くなると言われています。また、高齢者はエアコンを設置していてもエアコンの使用を控える傾向があります。
熱中症を回避できるエアコンの設置率も低い東北地方

東北は冬は寒くエアコン以外にストーブ等の暖房器具を使う傾向があるが、エアコンのない東北地方の人は、夏に関しては扇風機か部屋の窓を全開にしてすごすのだろうか?
エアコンの設置率は全国平均が86.4%と高いのに対して東北地方のエアコンの設置率は極めて低い。エアコンの設置率が80%を切るのは、北海道、東北6県のほか山梨県の79.5%、長野県の60.6%だけだった。
東北の平均気温は低いが最高気温は関東と変わらない。
グラフは2015年と2016年の7月、8月の東北地方各都市の平均気温のうち高いほうをグラフに表したものです。また最高気温は7月、8月の最も高かった気温です。比較として東北地方に近い関東の宇都宮市と水戸市のデータも記載しています。

平均気温が熱中症予防指数の24℃を下回る青森市や八戸市でも、真夏日には日中に気温が35℃以上になる危険な日もある。北東北を除くと平均気温や最高気温は関東隣県の宇都宮市や水戸市とほぼ変わらない。

前年度(2015年)に比べると全体的に平均気温や最高気温も下がっているが、秋田市や酒田市では平均気温・最高気温ともに関東の宇都宮市、水戸市より高くなっている。
平均気温は都市により1℃~3℃変わりますが、最も暑い日の気温にはそれほど大差はなく、どの都市も熱中症の危険がある35℃をほぼ超えています。熱中症の発症ピークは梅雨明け後の7月中旬から8月上旬にかけて。時間帯は正午から15時前後の最も暑い時間帯ですが、その最も暑い時間帯の気温は関東と東北を比較してもそれほど大差が無い事がわかります。
東北地方のエアコン設置は急務。
東北地方のエアコン設置比率が一番低い青森県と岩手県は、ほぼ半数の家にエアコンがない状態となっている。確かに真夏日の日数は他の県と比べて少ないかもしれないが、最も暑い日の温度は関東とかわらないという事実があります。たった1日の真夏日であったとしてもエアコンが無い事によって熱中症により命を落としかねません。
前年度より気温が高くなると熱中症患者も増加する。
グラフでもわかるとおり秋田市は2015年に比べて2016年は平均気温が1.6℃高く、最高気温は1.3℃高かった。秋田県では2016年8月7日に37.6℃を記録しており、正午から夕方5時までの5時間もの間35℃以上の気温となっていた。さらに昼過ぎ2時~夕方5時までは36℃を超えていました。グラフを見ても2016年の秋田県の平均気温、最高気温は関東の宇都宮、水戸よりも高い事がわかります。秋田県では8月7日と8日の2日間だけで75歳以上の高齢者3名が熱中症により死亡しているのです。いずれも自宅で熱中症にかかっていた。
高齢者に特に必要な水分補給と塩分補給。
夏場は特に体温調節機能が低下している高齢者に脱水症状がおきやすく、熱に対して鈍感になっている事から、脱水に気がつきにくい。さらに塩分濃度の低いお茶などを好む傾向にある為、水分補給をしているつもりでも塩分を適切にとれていない場合があります。大量に汗をかくようであれば水分だけでなく塩分の補給も必須です。あまり運動をせず、じんわりと汗をかくような状況なら毎日の食事で適切な塩分補給ができるかもしれませんが、この時期は夏バテで食欲が無くなる事もよくあります。そのような場合はやはり水分意外に塩分の補給も必要と言えます。
一番良いのは経口補水液。

(左)アクアライト 和光堂(乳児用)、(右)オーエスワン 大塚製薬
熱中症の予防には、塩分と水分を含んだ0.1%から0.2%の食塩水が推奨されています。市販品では経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)が良いでしょう。経口補水液などを夏の時期に飲むような習慣をつければ熱中症の予防につながります。
大塚製薬工場 経口補水液 オーエスワン 500mL丸PETx24本(ケース)
ベビーのじかん アクアライトりんご 500ml×24本
スポーツドリンクじゃダメなの?
夏バテを感じた時に身近な物で水分補給するのであれば市販のスポーツドリンクでも良いかもしれません。しかし熱中症の予防という意味ではどうでしょうか。一般的にスポーツドリンクは塩分量よりも糖分が多いのです。高齢者もあまり好まないかもしれません。適切な塩分補給という意味では、梅昆布茶や味噌汁などもミネラル、塩分が豊富に含まれており熱中症の予防に効果的です。
まとめ
2015年の5月から9月の熱中症による救急搬送人員数は55852人。翌年2016年は50412人となっています。熱中症はエアコンの使用や適切な水分補給や塩分補給をしていれば防ぐ事ができます。夏の暑い日にエアコンが無い家の中でじっとしているのであれば、空調が利いていて涼しいスーパーやショッピングセンターなどで日中の暑い時間帯を乗り切る事も考えましょう。一番は一家に1台エアコンを導入するという事です。エアコンには冷房機能のみの安価な製品もありますから、冬は別の暖房器具を使う東北地方の方にも良いのではないでしょうか。