昨日飲んだペットボトルを常温保存すると食中毒菌が増殖する!?

ペットボトル飲料と言えば500mlが定番ですよね。500mlのペットボトルが普及する前は、缶ジュースを買って飲み干さないといけなくて大変でしたが、500mlのペットボトルが普及してからはコンビニや自動販売機で手軽に買えてそのまま口をつけて飲めるし、キャップを閉めればこぼさないで持ち運べるし非常に便利です。ちなみに昔コンビニが無い時代は1.5リットルのペットボトルが買える自動販売機が普通でした。家族で飲む為にコップに入れて飲んでいましたね。実はペットボトル飲料の食中毒は500mlが登場してから広がった事はご存知ですか?

ペットボトル飲料の食中毒は口をつけて飲むのが原因。

口をつけて飲んだ飲み掛けのペットボトル飲料

食中毒と言えば家庭で作った料理が主な原因と思っていませんか?コンビニに売っている弁当や総菜、ペットボトル飲料は衛生管理がしっかりしている工場で作られており食中毒の危険性はとても低いと思っていませんか?実は菌が入り込むのは工場ではなくペットボトルに口をつけて飲んだ後なんです。口につけて飲んだ後にペットボトルを口から離すと口の中の食べカスや菌がジュースとともにペットボトルに入り込んでいるのです。口の中には300種類以上の細菌がいると言われています。しかし普通の生活をしている時は細菌を食べて殺してくれる免疫細胞のおかげで食中毒に至るまでの状態にならないのです。

口の中にいる菌で食中毒の危険性が高いのはどれ?

口の中には300種類以上の細菌がいると言われていますが、よく聞くのはカンジタ菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ミュータンス菌などです。それではジュースの中で増殖し食中毒になりやすのはどれでしょうか?実は黄色ブドウ球菌なのです。

食中毒を引き起こす原因は黄色ブドウ球菌だった。

黄色ブドウ球菌は私たちにとって非常に身近な細菌です。健康な人の手や鼻の中、口の中や腸の中にも生息しています。黄色ブドウ球菌は基本的に弱い細菌の一種で、通常体の中で悪さをするような事はありません。そのような身近な細菌の1つである黄色ブドウ球菌がなぜ食中毒を引き起こすのでしょうか?

食中毒の原因はエンテロトキシン。

黄色ブドウ球菌が増殖する温度

黄色ブドウ球菌は5℃~47.8℃で増殖するのですが、10℃~46℃の間ではさらに活発化し増殖しながら菌の外へ毒素を吐き出すのです。この吐き出す毒素が食中毒を引き起こします。黄色ブドウ球菌が吐き出す毒素はエンテロトキシンという腸管毒ですが、人の体内に入ると嘔吐や下痢などの腸炎を引き起こします。潜伏期間は短く平均して3時間程度で発症するといわれています。飲みかけの口をつけたペットボトルを常温で保存しているとペットボトルの中で菌が増殖し毒素を吐き出す可能性があるのです。菌が増殖したジュースを翌日に飲むと食中毒を発症するという事になります。

どんなペットボトル飲料が菌の増殖に繋がるの?

水のペットボトル飲料を飲む人も多いですよね。ペットボトルと言えば水やお茶、炭酸飲料が思い浮かびますが、最近はコーヒー飲料もペットボトルになっています。それでは口をつけて飲んだ各ペットボトル飲料で菌の増殖に差はあるのでしょうか?

25℃の室内で口をつけたペットボトル飲料を半日放置した場合の菌

黄色ブドウ球菌は糖分を多く含むジュースや砂糖入りコーヒーを餌として増殖していきます。抗菌作用のあるカテキンを含むお茶より水、水より砂糖入りコーヒーのほうが菌が増殖しやすいのです。

ペットボトルだけ?缶ジュースは大丈夫なの?

缶ジュースで食中毒の危険性が低いのはなぜでしょうか。それは缶ジュースは開けた後に閉じる事ができないからです。キャップが無いから当然ですね。缶ジュースは350mlが一般的で一度に飲み干せる事もあり、キャップが無い事で持ち運びにも適さない為、その場で飲み切る人が多いのですね。缶ジュースの不便な事が食中毒の防止に繋がっていたのです。もちろんペットボトルと同じで缶ジュースでも前日に飲んだ物を常温で放置すると食中毒の危険性が上がります。

缶コーヒーと菌の話

缶ジュースと言えばアルミ缶が主流ですが、最近まで缶コーヒーと言えばスチール缶が主流でした。空き缶のリサイクルでアルミ缶やスチール缶で分けた事ありませんか?全部アルミだと楽なのに缶コーヒーだけはスチール缶でしたよね。これには理由があります。缶の飲料水を含めた缶詰で怖いのはボツリヌス菌という致死率が高い細菌です。特にミルク入りの飲料水がボツリヌス菌の危険があるのですが、今までボツリヌス菌が入る可能性がある為、高温殺菌をしなければいけない飲料水については飲料水の団体である全国清涼飲料工業会が自主的に規制をしてスチール缶にしていました。スチール缶の場合、菌が増殖すると缶が膨張して膨れるため、購入した消費者が異常に気が付きやすいという利点があります。これがアルミ缶の場合だと、缶の強度を高める目的に窒素ガスを入れて中の圧力を高める事で膨らんでいるので気が付きにくいのです。実はコカ・コーラのジョージアはアルミへ変更されています。

まとめ

暑い夏の日は特にペットボトルの取り扱いに注意する事が必要です。飲んだ物が余ったら捨てるか、口をつけて飲まないようにしましょう。

昨日作ったカレーの食中毒にも注意が必要。加熱に強いウェルシュ菌は増殖する。